建指定有形文化財

大乗寺鐘楼修理工事

工事前の外壁の状態

 

下部が風雨によって腐っていました。

工事前の屋根の状態

 

雨漏りはないようでしたが、瓦がずれていたり、割れているものもありました。

工事前の欄干の状態

 

外壁同様、雨により大きく傷んでいました。

屋根の瓦葺き替え

 

今工事では上を覆う素屋根を作らないため

部分的に瓦を外しながら、下にフェルトを敷いて再び瓦を葺いていきます。

文化財ということで、痛みの少ない瓦は再使用していきます。

欄干の取り外し

腐っている部分を修理するため、欄干の板や手摺を取り外します。

その際、外した材料には「番付」という板を取り付け、どの部分についていたかが判るようにしていきます。

外壁の調査

取り外した外壁を並べ、

・再使用するもの

・修理するもの

・取替えるもの

を区別。すべてを調査していきます。

一枚一枚寸法と状態を確認するため、とても時間のかかる作業です。

取替え材料の加工

傷んでいた手摺は取替を行いました。

その際に、元の材料とまったく同じ形にしないといけないため、反り方などを新材に写して加工していきます。

大工の腕が問われる作業です。

部分補修の材料は、古い材料と継ぐことが必要になります。

金輪継ぎと呼ばれる伝統工法により、釘を使うことなく取り付けていきます。

痕跡の調査

 

古い建物を解体していくと、現在は使われていない痕がでてくることがあります。

建物の以前の形をしらべるための重要な手がかりです。

痕跡は全て寸法や位置を記録し、図面に残していきます。

今回は、鐘楼の廻りに様々な建物があり、痕跡全体の写真を取れなかったため、CGにより全体像を考察することとなりました。

色によって痕跡を分けたりできるので、こちらの方法の方が便利な気もします。

屋根竣工

 

欄干竣工

腕の良い職人さんの手によって、建築当初の姿に戻すことができました。

本来は古色といった色付けにより、取替え部分を目立たせなくするのですが

今回は、外部廻りのみの修理であるため

自然に変色していくのに任せる方針で、古色塗りは一部のみとなりました。